女子大生A

 

2019年 10月 9日

22:56 記

 

明日も早いからと、いつもより早めに布団に潜った。

電気を消したはずの室内がほんのりと明るい。

 

光源を探れば、閉め忘れたカーテンの隙間から赤ぼけた月が照らしていた。

 

今夜の月はやけに明るい。

ようやくと言っていいくらいに長い夏を終えて、秋の涼しさを感じさせる日だった。

昨日までは頭の少し上くらいだったはずの月の位置がやけに高く見えて、なんともなしに嘆息を零した。

 

「秋だなあ」

 

短い秋が来る。

涼しさと寒さの間をすり抜けていくように、秋は気付けば冬に変わっている。

 

いつもより高くなった月をじっと見つめて、静かにカーテンを引く。

秋が来る前に、明日の朝がやってくる。

眠らなければいけない。

代わり映えのしなくなった日常に、今度はわざとらしく息をついて、1日を終わらせるためにベッドに登った。

 

今日も今日とて。

 

けれど、ほんの少し明るい外に、少しだけ明日への期待を抱いて、眠りにつく。

 

 

さようなら、今日のわたし。

明日のわたしに、バトンタッチ。

 

 

 

 

 

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女子大生A

3回生。今月21歳の誕生日を迎える。

お酒も煙草もしないが真面目な性格と言われたらそうではなく、高校時代は夜遊びをよくしていた。

恋人と呼べる相手はいないが、見た目の印象の割に男友達が多い。大学の友人からはよく驚かれる。

伸ばしていた黒髪は、夏の暑さに耐えかねてショートにカット。ついでに明るく染めた。

サークルや部活には入っておらずバイト三昧の日々だが、それなりに充実した日々を送っていると思ってはいる。

ただ、こんな秋の夜長には感傷に浸ってしまうような乙女心も持っていたり...

 

「1日を生きるのはわたしであり、明日のわたしは別人である。」